賢治の里を訪ねて〜岩手県・花巻 (1)

『銀河鉄道の夜 TYPING』プロデューサー 大上和男

 「銀河鉄道の夜TYPING」の製作もゴールが見えてきた中、私はある計画を胸に秘めていました。それは休暇をとって岩手県にある宮沢賢治の里を訪ねるというもの。

 「なぜ?」

 理由は二つあります。
 一つは、このプロジェクトを進めるにつれて、素直にある気持ちが大きくなってきたからです。賢治が生活した地に立ち、彼が踏みしめた大地を歩き、彼が吸った空気を吸い、彼が見上げた空を見上げ、彼が眺めた川を眺めてみたいという気持ちです。そうすることで賢治の想いにより近づくことができる、そんな気がしたのです。

 もう一つは、賢治作品をモチーフとした作品を出すにあたり、どうしても賢治の権利物等を管理されている親族代表者にご挨拶したいと思ったからです。賢治の生誕後、すでに100年を越える時が経ちました。著者没後50年で著作権は消滅します。ですが、全国の出版社の心ある担当者は賢治作品の発行にあたり、賢治の権利物管理者にその挨拶をするのが慣わしとなっていると聞きました。これまでは賢治の実弟である清六さんが親族を代表してその任にあたっておられましたが、清六さんも一昨年春97歳でお亡くなりになりました。どなたがその後を継がれたのかはわかりませんが、礼儀としてその方にご挨拶したいという気持ちが強かったのです。

 ある晩、KAGAYAさんのスタジオを訪れた際に、その計画をポツリと話してしまいました。するとKAGAYAさんもちょうどその時期空いているので、取材旅行も兼ねて一緒に行きましょうということに。さらに、今回の賢治の里旅行の絶好のナビゲーターも紹介してくださいました。KAGAYAさんの友人であり、高名な宮沢賢治研究家でもある加倉井さんです。現在の賢治の権利物管理者との仲立ちもつとめてくれることになりました。

いざ、賢治の里花巻へ

12月14日(土)

新花巻駅
朝、東京から東北新幹線で岩手へ。北へ北へ。
車窓に眼を移すといつの間にか雪景色。昼前に新花巻駅到着。
改札を出ると後ろから声をかける人がいる。
振り返ると笑顔のKAGAYAさんとアシスタントさんが立っている。同じ便だったようだ。その場で加倉井さんをご紹介いただく。

山猫軒
今回の移動手段としてレンタカーを借りる。
まずは腹ごしらえ。宮沢賢治記念館前の「山猫軒」で食事。
作品「注文の多い料理店」をモチーフにしたレストラン。
店内には賢治の作品からとったフレーズが綺麗に壁を飾っている。
KAGAYAさん、加倉井さん、私は「山猫がゆ」。
KAGAYAさんのアシスタントさんは「イーハトーブ定食」。
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宮沢賢治記念館
食後、宮沢賢治記念館へ向かう。
途中、どこをみても素晴らしい景色。
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宮沢賢治記念館入り口
門を入ってから記念館内を建物へと歩いていく。

「よだかの星」の石碑
途中、「よだかの星」の石碑を発見。
幼き頃に読んだ印象的な作品。
いじめられたよだかが夜空を飛ぶシーンが記憶の端から蘇る。

博物館の資料庫
進行方向右手になにやら蔵のような建物が建っている。
この蔵の中に宮沢賢治作品の原本が大切に保管されている。

記念館に入る
記念館を見学。
この記念館は全国的にみてもかなりの集客力をもつもの。
この日も熱心な見学者が来ていた。

見学後、外に出てみると先ほどは気づかなかったものが林の中に溶け込み立っている。
「銀河鉄道」のモデルといわれる軽便鉄道で使われたであろう踏切だ。
その近くの景色を見渡せる小高い場所から花巻の街を見下ろす。
市内を川が流れ、その向こうには雪化粧の山々。
こういう環境ならば賢治のあの作品群が生まれた理由も妙に納得できる。
その足で近くの神社へ。
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胡四王神社
賢治も幼い頃、よく訪れたという神社、胡四王神社。
歩きながら、なぜか「どんぐりと山猫」のお話しが想起される。
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賢治が愛したという神社の旧参道は急勾配の階段を上るものだった。
賢治もここから歩いて登ってきたのだろう。

神社の碑
賢治と神社との関係を記述する碑が置いてある。
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神社の木々
少年時代からここきては周囲の風向にひたり瞑想したとある。
恋慕の思いにも悩んだとも....。
賢治が見上げただろう神社の木々を見上げる。


いかがでしたでしょうか。

このページでは、「銀河鉄道の夜 TYPING」の制作風景を紹介していきます。
みなさまが普段あまり目にされることのない、ソフト制作の現場を楽しんでいただければと思っております。

次回は、賢治の里を訪ねて、岩手県の花巻を訪れた際の風景(2)を予定しています。
お楽しみに。

 

第 1 回 「桑島法子さんの朗読風景」
第 2 回 「KAGAYAさんの印刷所立ち会い風景」
第 3 回 「賢治の里を訪ねて〜岩手県・花巻の風景」(1)
第 4 回 「賢治の里を訪ねて〜岩手県・花巻の風景」(2)
第 5 回 「賢治の里を訪ねて〜岩手県・花巻の風景」(3)
第 6 回 「仕事場拝見〜KAGAYAスタジオ編」
第 7 回 「仕事場拝見〜サイバーアーツ編」
第 8 回 「制作を陰で支えたグッズ」(1)